あゆみ製薬株式会社

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リウマチ・整形外科領域のスペシャリティファーマ誕生
リウマチ・整形外科分野に特化し、痛みと疾患の進行を抑える薬剤を提供していきます

患者さんの笑顔がある社会を目指したい
あゆみ製薬株式会社
代表取締役社長
大内 光 氏
Hikaru Ohuchi

2015年8月、参天製薬から抗リウマチ薬事業を引き継いだあゆみ製薬が誕生、同年12月には解熱鎮痛薬を含む昭和薬品化工の医科事業が合流した。人口の高齢化で腰痛など整形外科系の疾患や痛みを抱える患者数は数千万人に達するとされる。この分野に特化した製薬企業としてスタートを切ったあゆみ製薬の目標と展望について、同社の大内光社長に聞いた。

--あゆみ製薬誕生の経緯についてお話しください。
 あゆみ製薬は、30年の歴史を持つ参天製薬の抗リウマチ薬事業を承継して、2015年8月3日に事業を開始し、同年12月28日には、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンで大きな国内シェアを有する昭和薬品化工の医科事業が合流・統合し、国内では初となるリウマチ・整形外科領域の「スペシャリティファーマ」として、新たな一歩を踏み出しました。

患者さんの歩みを支えたい

--社名にはどんな思いが込められていますか。
 「あゆみ製薬」という社名には、何より患者さんが、痛みから解放され、自分の足で、笑顔で歩けるようにという願いが込められています。さらに、異なる領域における2つのリーディングカンパニーが新たな企業として第一歩を踏み出し、未来に向けて歩み続ける、との私たちの決意も込められています。
 シンボルマークも、「あゆみ」のイニシャルである「A」に歩くイメージを重ね、生き生きと歩けるという希望を赤で表現しています。整形外科疾患や関節リウマチは、治療を要する期間が長く、医師も製薬企業も患者さんに長期にわたって寄り添う必要があります。その意味で「共に歩む」という意味もあります。

--リウマチ・整形外科領域に特化した意義について教えてください。
 あゆみ製薬が対象とするのは、リウマチ・整形外科領域の疾患です。なかでも、腰痛などの痛み、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症の4分野に注力します。あゆみ製薬のスタートに当たっては、このうち2つの分野、鎮痛薬と抗リウマチ薬を揃えて船出することができました。今後、4分野すべての薬剤を提供できるように準備をしています。
 参天製薬から承継した抗リウマチ薬は4剤あり、すべて日本リウマチ学会の診療ガイドラインで推奨されています。また、昭和薬品化工から承継した鎮痛薬は、腰痛診療ガイドラインや変形性関節症のガイドラインで推奨されています。
 弊社が対象とする疾患に悩む患者さんは数多く、高齢化に伴って増加の一途をたどっています。国内の変形性関節症の患者数は2000万人を超えているとされ、骨粗鬆症の患者数も約1100万人と推定されています。このほか、整形外科分野で痛みを訴える患者数は、腰痛が2800万人、肩痛が2200〜2300万人とされます。関節リウマチの患者数は70〜100万人です。患者さんの多くは長期に及ぶ痛みや病状の進行に苦しんでいます。
 こうした患者さんたちが痛みや将来の不安から解放され、高い生活の質(QOL)を得られるようにすることが、私たちの目標であり、そのために必要な薬剤を充実させていきたいと考えています。

早期からの治療が効果的

 あゆみ製薬が対象とする疾患は、早期からの治療で症状の発現や、進行を抑えることができます。また、痛みを和らげることで、より快適な日常生活をおくることができます。
 特に、関節リウマチでは、早期に治療を始めることで、関節の変形など、疾患の進行を抑えられることが明らかになってきています。逆に治療が遅れると病状の進行が早まってしまいますので、これからも、患者さんや先生方に対して、早期からの治療の重要性を訴えるとともに、有効な薬剤をより低価格で提供し、患者さんの笑顔がある社会を目指していきたいと思っています。
 痛みの治療も同様に、早期治療が重要です。日本人はとかく痛みを我慢しがちですが、痛みは精神的な負担も大きく、早期から痛みを取り除くことには大きなメリットがあります。

--医療機関や他の製薬企業との連携を重視していくと聞きました。
 整形外科領域でもリウマチ領域でも、これまでキーパーソンとなる先生方の指導を受け、共同研究を実施してきました。
 従来より、抗リウマチ薬事業では、医師の先生方とのマンツーマンのアプローチを重視してきました。関節リウマチは患者さんによって症状や疾患の進行、副作用の発現などが大きく異なり、個別の治療が重要だからです。一方、昭和薬品化工は鎮痛薬の適切な使い方について、整形外科の先生方に聴講いただける講演会を多く開催し、有効で安全な薬剤の使い方を広めてきました。
 今後は両者の良いところを効果的に活用していけると考えています。例えば、昭和薬品化工が築いてきた整形外科領域のネットワークを生かし、整形外科の先生方に抗リウマチ薬の情報提供を行ったり、リウマチ専門の先生方には、鎮痛薬に関する情報提供を行っていきます。患者さんに対しても、早期の治療開始の重要性や、痛みに対する治療の必要性についてのメッセージを伝えていかなければなりません。
 加えて、他の製薬企業とは、医薬品の開発や販売において強固な協力関係を築いており、今後、リウマチ・整形外科領域での存在感を強めるためにも、新たな連携を進めてまいります。

--今後の展開についてお話しください。
 現在あゆみ製薬の売り上げは約200億円ですが、今後5年で500億円まで伸ばしたいと考えています。スペシャリティファーマとして、リウマチ・整形外科領域でのオープンプラットフォームを実現するためにも、企業としての存在感を増す必要があるからです。その一環として、関節リウマチの治療において使用が広がっている生物学的製剤を、より低価格で提供するため、バイオシミラーを手掛けていきたいと考えています。
 これからも、患者さんに笑顔の“歩み”を届けるために、医療関係者をはじめ、多くの皆様に「あゆみ製薬」という社名を覚えていただき、私たちの取り扱う薬剤と結び付けていただけるよう、努力してまいります。

企画制作:日経BP 企画編集センター
日経ビジネス2015年12月28日号からの転載です。

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