ポジティブ・エクササイズ+10!

  • はじめに
  • 正しい姿勢で
    エクササイズ
    (2分)
  • 筋力アップ・
    エクササイズ
    (4分)
  • ぶらぶら
    エクササイズ
    (1分30秒)
  • 関節をほぐす
    エクササイズ
    (2分30秒)

はじめに

はじめに

1日10分のポジティブ・エクササイズで“健康寿命”を延ばしましょう

健康寿命(介護を必要とせず、自立した生活が送れる期間)を延ばすことは、だれもが願うことです。そのためには、普段から元気に体を動かすことが大切です。厚生労働省では、ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングなどの運動を、18〜64歳では1日60分、65歳以上では1日40分行うことを勧めてきました。2013年からは「+10」(プラス・テン)、つまりさらに10分多く体を動かすことを勧めています。

私が提案するポジティブ・エクササイズは、運動器(骨、関節、筋肉)にパワーをつけ、心肺機能や持久力を高めるための運動で、バランス感覚も養ってくれるので、転倒予防にも役立ちます。10分ほどで行えますので、「+10」にふさわしい運動です。毎日続けることで、自然に活力がみなぎり、体を動かすことが楽しくなるはずです。ポジティブ・エクササイズで健康寿命を延ばしましょう。

エクササイズの効果と注意点

  • ポジティブ・エクササイズを続けることにより、姿勢がよくなり、筋肉のパワーが高まり、バランス感覚が向上し、体をスムーズに動かせるようになります。
  • 毎日、体を動かすことで、心身がリラックスし、不眠などの睡眠障害も改善します。
  • 「自分には、特にこのエクササイズが必要だ」と思われる場合は、指定された時間にかかわらず、重点的にエクササイズしてください。
  • 「正しい姿勢」は健康の維持・回復に欠くことのできないものであることがわかってきました。慣れ親しんだ悪い姿勢を改めることは大変なことかもしれませんが、健康への第一歩ですので、チャレンジしてください。
  • 正しい姿勢を保ってする深呼吸は、心肺機能を高めるだけではなく、正しい姿勢保持のための背筋や腹筋の強化にもつながります。
  • しっかりと立てる方は立って、立つことが不安な方や立てない方は、座って行いましょう。立ち上がりエクササイズは手すりや肘掛などを利用して転倒しないように注意してください。
  • 年とともにお辞儀をしたような姿勢になり、体をそらせなくなった人は多いと思います。生活習慣や仕事のために不良姿勢で体幹(首・背中・腰)が硬くなったためです。健康の第一歩である「正しい姿勢」をとるために体幹を柔らかくしておくことは大切です。
  • 関節をほぐすエクササイズは、お風呂上りなど体が温まっているときに行うと、無理なく行えます。
  • エクササイズの効果を上げるために、ゆっくり、できるだけ大きく動かすようにしましょう。
  • できるだけ毎日行ってください。ただし、関節や筋肉の痛みが強くなったり、疲れがひどくなったときは、無理をせず、必要に応じて診察を受けましょう。

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正しい姿勢でエクササイズ(2分)

正しい姿勢でエクササイズ(2分)

<健康を保持し生命力を高めるための基本エクササイズです>

1.正しい基本姿勢

目的

エクササイズの効果を上げるための正しい基本姿勢を覚えます。

ポイント

  • 肩の力を抜き、上体はゆったり伸ばしましょう。
  • 操り人形のように、頭のてっぺんから糸でつるされているイメージです。
  • あごを上げたり、胸をそらせたり力まないようにしてください。
  • すべてのエクササイズの最初の姿勢になります。
  • 体が真っ直ぐにならない方は、まず硬くなった背骨をほぐす必要があります。ステップ4の関節をほぐすエクササイズの11.胸張りエクササイズを行ってください。

2.深呼吸(胸式呼吸)

目的

生きるための基本動作です。
体の緊張をほぐしリラックスさせてくれます。

ポイント

  • 「正しい基本姿勢」から背筋を伸ばします。
  • 胸を大きく膨らませるように時間をかけてゆっくり息を吸い込みます。
  • 吸い込んだらゆっくりと全部はき出します。
  • 次の「腹式呼吸」と組み合わせて行ってください。

3.深呼吸(腹式呼吸)

目的

生きるための基本動作です。
体の緊張をほぐしリラックスさせてくれます。

ポイント

  • おなかに手を置き、おなかに大きなボールが入っているイメージで行いましょう。
  • そのボールを押しつぶすような気持ちでゆっくりと息をはきます。
  • はききったら、ボールが大きく膨らむイメージでゆっくり息を吸います。
  • 背筋が反り返ったり、肩に力が入って上がったりしないように、おなかに集中して行ってください。

4.口輪筋エクササイズ

目的

呼吸をスムーズにするための筋肉を鍛えます。
睡眠時無呼吸症候群の予防にも役立ちます。

ポイント

  • タコの口のように唇をぎゅっとすぼめます。
  • 5秒間すぼめ続けてから元に戻ってください。
    5回くり返します。
  • 終わりに、口をいっぱいに大きく開けます。
    指3本が入るぐらいがめやすです。

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筋力アップ・エクササイズ(4分)

筋力アップ・エクササイズ(4分)

<転倒と骨折を防ぎ、動作をスムーズにします>

5.ダイナミック・フラミンゴ・エクササイズ

目的

脚全体にパワーをつけると同時にバランス感覚を養います。

ポイント

  • フラミンゴのように片脚を少し上げて、片脚立ちを1分間続けます。
  • 左右それぞれ行ってください。
  • よろける方は、転倒しないように、テーブルや椅子の背などに手を置いて、安全を確保しながら行ってください。

6.立ち上がりエクササイズ

目的

おとろえると転倒しやすくなり、普段の生活が不自由になります。骨折すると寝たきりの危険も増します。太もものパワーとバランス感覚をアップします。

ポイント

  • 椅子に腰掛けた姿勢から、ゆっくり立ち上がります。
  • 立ったら、今度はゆっくりと座ります。
  • 1分間くり返してください。
  • 慣れないうちは椅子の肘掛やテーブルを支えにしてもかまいません。

7.腕立てエクササイズ

目的

転倒を予防してくれるふくらはぎと転倒したときに自分のみを守ってくれる腕のパワーをつけます。

ポイント

  • テーブルに両手をついて立ってください。
  • テーブルに寄り掛かりながら、かかとを浮かせ、つま先立ちになります。
  • 1分間この姿勢を保ちます。
  • 最後に深呼吸しましょう。

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ぶらぶらエクササイズ(1分30秒)

ぶらぶらエクササイズ(1分30秒)

<心身のリラックスは健康の基本です>

8.手と腕のぶらぶらエクササイズ

目的

肘から指先までをリラックスさせます。

ポイント

  • まずステップ1の「正しい姿勢でエクササイズ」の01の「正しい基本姿勢」になってください。
  • 手首と肘を左右に軽く回すようにしながら、指を“ぶらぶら”させます。
  • 上半身や肩に力が入らないように注意してください。
  • 10〜30秒間続けます。

9.上半身のぶらぶらエクササイズ

目的

腕と首筋から腰まで上半身をリラックスさせます。

ポイント

  • まずステップ1の「正しい姿勢でエクササイズ」の01の「正しい基本姿勢」になってください。
  • 肩を左右に軽く回すように“ぶらぶら、くねくね”動かします。
  • 肩に力が入らないようにし、腕全体も“ぶらぶら、くねくね”させます。
  • 10〜30秒間続けます。

10.足首と脚のぶらぶらエクササイズ

目的

股関節から足先まで下半身をリラックスさせます。

ポイント

  • 椅子に浅く腰掛けるか、仰向けに寝て行ってください。
  • 足首と膝を左右に軽く回すように“ぶらぶら”させます。
  • 10〜30秒間続けます。

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関節をほぐすエクササイズ(2分30秒)

関節をほぐすエクササイズ(2分30秒)

<よい姿勢にはまず柔らかい体が必要です>

11.胸張りエクササイズ

目的

背骨の動きを大きくし、胴体の変形を矯正します。

ポイント

  • 胸を張るためには、首を後ろにそらす動作と腰を伸ばして後ろにそらす動作が必要です。
  • 立てる方は立って、無理な方は座って行ってください。
  • まず背が高くなるイメージで上に伸びてください。
  • 次に首と腰をそらせます。
  • 首が硬ければ、時間をかけて天井を見る動作をしてください。
  • 腰が硬ければ、手を添えてゆっくりとそらせてください。
  • 力をぬいて仰向けや腹ばいになることもひとつの方法です。
  • 数回くり返してください。

12.“バックオーライ”エクササイズ

目的

体幹のねじりの硬さをほぐします。体が柔らかくなる以外に、健康を獲得し社会生活をスムーズに行う上で多くの効果が得られます。

ポイント

  • 脚を左右に開いて立ち、ゆっくりと体をねじって後ろを見ましょう。
  • 立てない方は座って、背筋を伸ばして行ってください。
  • 仰向けに寝ころがって、片方の肩を90度浮かせるようにねじるのもよい方法です。
  • どの方法も、左右で行い、数回くり返してください。
  • 人に手伝ってもらうのもよい方法です。

13.ばんざいエクササイズ

目的

肩や肩甲骨の関節をほぐします。

ポイント

  • 腕を伸ばし、耳につくように「ばんざい」の要領で上げます。
  • 十分に上がらないときは、反対側の手を添えて助けるために、片方ずつ行ってください。

14.“ハグハグ”エクササイズ

目的

肩や肩甲骨の関節をほぐします。

ポイント

  • 自分自身をハグする(抱きしめる)ように、それぞれ反対側の肩〜二の腕を抱え込みます。
  • 十分に届かないときは、反対側の手を添えて助けるために、片方ずつ行ってください。

15.“むすんでひらいて”エクササイズ

目的

日常生活の身の回りの動作に欠かせない手指の機能を向上させます。

ポイント

  • 大きく、強く“じゃんけん”の“グー”と“パー(”グッパ)をくり返します。
  • 十分にできないときは、反対側の手を添えて助けるために、片方ずつ行ってください。

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監修:
医療法人社団 関田会 ときわ病院 整形外科部長 西林 保朗 先生
協力:
北整形外科 院長 北 潔 先生
甲南女子大学看護リハビリテーション学部教授 八木 範彦 先生
兵庫大学健康科学部看護学科教授 小林 廣美 先生

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